初めて福岡を訪れた人が驚くことの一つに、バスの多さがあります。
次から次へとやってくる西鉄バス。道路には多くのバス停があり、地元の人は当たり前のように利用しています。
東京や大阪のような大都市をイメージして訪れると、「思ったより電車中心ではないな」と感じる人もいるかもしれません。
なぜ九州北部ではこれほどバスが発達したのでしょうか。
九州の街は駅前だけではない
九州北部の都市にはある共通点があります。
それは、必ずしもJR駅前が最大の繁華街ではないことです。
福岡なら天神、熊本なら上通・下通、長崎なら浜町など、街の中心は駅から少し離れた場所にあることが少なくありません。
歴史ある城下町や港町が先に発展し、その後に鉄道が敷設されたため、現在のような街の形になったと言われています。
そのため、人々は駅からさらに移動する必要がありました。
そこで重要な役割を果たしたのがバスです。
人が行きたい場所へ運ぶ交通
鉄道は駅と駅を結ぶのが得意です。
しかし、人が本当に行きたい場所は駅そのものではありません。
病院や市役所、オフィス街や商店街、イベント会場など、目的地はさまざまです。
バスはそうした場所の近くまで直接行くことができます。
九州北部では、この特徴が非常にうまく活かされてきました。
駅から目的地まで乗り換えるのではなく、最初から目的地の近くまで行ける路線が多く整備されています。
福岡は「バスを使いこなす街」
福岡市内を歩くと、バスが都市交通の主役の一つであることがよく分かります。
地元の人は地下鉄だけでなく、行先番号や経由地を見ながら上手にバスを使い分けています。
最初は複雑に見える路線網も、慣れてくると非常に便利です。
むしろ目的地によっては地下鉄より早く到着できることもあります。
出張で何度か訪れた人の中には、電車より先にバスを調べるようになる人も少なくありません。
イベント輸送の力強さ
福岡の特徴として、大規模イベント時の輸送力も挙げられます。
野球やコンサートが終わると、会場周辺には多くの臨時バスが待機しています。
観客を一気に運び出すその様子は圧巻です。
鉄道だけに頼るのではなく、バスと鉄道がそれぞれの強みを活かして人を運んでいることがよく分かります。
道路環境も味方している
九州北部の交通網を語るうえで、道路環境も欠かせません。
福岡市内は比較的道路が広く、都市高速道路も整備されています。
そのため大量のバスを効率よく運行することができます。
利用者から見ても、都市規模の割には渋滞が少ないと感じることが多いのではないでしょうか。
こうした道路事情も、バス交通の発展を支える大きな要因となっています。
鉄道とバス、それぞれの役割
もちろん鉄道が不要というわけではありません。
新幹線や特急列車は都市間移動を支えていますし、地下鉄は福岡市内の重要な交通手段です。
一方で、街の細かな移動を支えているのはバスです。
九州北部の交通網の面白さは、どちらか一方に頼るのではなく、それぞれの長所を活かしているところにあります。
鉄道が骨格をつくり、バスが毛細血管のように街の隅々まで人を運ぶ。
そんな役割分担が自然に出来上がっているのです。
おわりに
交通機関を考える時、私たちはつい鉄道に注目しがちです。
しかし九州北部を歩いてみると、街を支えているのは鉄道だけではないことに気づかされます。
人が行きたい場所へ、できるだけ便利に運ぶ。
そのために鉄道とバスがそれぞれの役割を果たしている。
九州北部の交通網は、そんな「人の移動」を中心に発展してきた仕組みなのかもしれません。
だからこそ、一度使い方が分かると、とても移動しやすい地域だと感じるのでしょう。
